痛風とは
尿酸の結晶が関節に沈着して、免疫反応で強い炎症(激痛・腫れ・赤み)を起こす病気。典型的には就寝中〜明け方に母趾の付け根が突然痛みます。発作が治まっても体内の「尿酸プール」は残るため、再発をくり返しやすいのが特徴です。治療の基本は①発作の痛み・炎症を速やかに抑える、②血清尿酸値(SUA)を“治療目標”まで下げて維持する、の二本立てです。目標は一般に6.0 mg/dL未満(日本でも推奨)です。
痛風発作の特徴とセルフチェック
- 片側の関節(足の親指・足背・足関節・膝など)が突然、激痛で触れられない
- 赤く腫れて熱感がある/体重負荷で悪化
- しばしば前日に飲酒・脱水・大食い・激しい運動などの誘因あり
- 初回やこれまでと違う痛み方なら化膿性関節炎・偽痛風などの鑑別が必要です。
受診の目安(救急・早めの受診)
- 39℃前後の高熱、悪寒、全身のだるさが強い
- 関節が急速に腫れ広がる/皮膚がベタつく膿・傷がある(化膿性関節炎の疑い)
- 初めての発作/痛む部位がいつもと違う/痛みが非常に強い
- 既往に腎臓病、心不全、胃潰瘍、抗凝固薬内服などがある(鎮痛薬の選択に制限が出ます)
発作時の応急対応(安静・冷却・水分・NG行動)
- 患部を高くして安静/きつい靴を避ける
- 保冷材で15〜20分を目安に冷却(直接当てず薄手のタオル越し)
- 水分をこまめに摂る(糖分入り飲料・アルコールは×)
- NG:飲酒、長風呂・サウナ(脱水を招く)、患部の揉みほぐし・強い温熱は悪化要因
※冷却は痛み軽減に有効、急性期の温熱は悪化し得ます。
市販薬の使い方(急性痛への対処と注意点)
基本:抗炎症作用のあるNSAIDsを「できるだけ早く・最少日数」で。日本で一般的なのはロキソプロフェン、イブプロフェンなど。胃腸・腎・心血管の持病や薬の相互作用がある方は必ず薬剤師・医師に相談を。
- ロキソプロフェン錠・イブプロフェン錠など:ラベルの用法容量を厳守。長期連用は避ける。
- アセトアミノフェン:炎症は抑えにくいが、NSAIDsが使えない人の疼痛緩和には選択肢。
- 外用NSAIDs(パッチ・ゲル):補助的に痛む部位へ。全身吸収は少ないが、原則として鎮痛薬の重複使用は避けるのが安全策。どうしても併用検討時は必ず医師・薬剤師に確認を。※外用は安全性が高い一方、メーカー情報では「他の解熱鎮痛薬との併用は避ける」旨の案内もあります(解釈が分かれるため要相談)。
避ける薬の例:アスピリン(少量でも尿酸排泄を妨げ、発作悪化の報告あり)。持病で処方されている場合は自己判断で中止せず、主治医に相談。
医療機関での治療の流れ
- 急性期(発作):NSAIDs・コルヒチン・ステロイド(経口または関節内注射)などで炎症と痛みを抑えます。開始が早いほど有効。
- 尿酸低下療法(再発予防):アロプリノールが第一選択(腎機能低下でも低用量から推奨)。“治療目標:SUA < 6 mg/dL”に向けて少しずつ増量し、定期採血で調整。開始時は3〜6か月の**発作予防(コルヒチン等)**を併用します。
- いつ始めるか:頻回発作(年2回以上)、痛風結節、画像で関節破壊があれば強く推奨。初回発作でもSUA≥9 mg/dL/尿路結石/CKDステージ3以上などは検討。
- 発作とULTの関係:近年は「発作中にULTを開始しても悪化しにくい(抗炎症薬を同時投与)」という指針があり、服用中のULTは中断しないのが原則。ただし日本の従来資料には“発作中に新規開始しない”とする記載もあり、実臨床は主治医判断。
- 日本の特徴:無症候性高尿酸血症でもSUA≥8.0 mg/dL等で薬物治療が考慮される場合がある(動脈硬化・腎疾患リスクをふまえた国内方針)。
再発予防の基本(食事・水分・体重・運動・睡眠)
- アルコール:量が増えるほど再発リスクが上昇。特にビール・サイダーは影響大。休肝日と上限設定を。
- 糖分(果糖・清涼飲料):砂糖・果糖は尿酸を上げやすく、清涼飲料の常用で発症リスク上昇。
- 食事:内臓・干物・一部魚介(カツオ・イワシ等)など高プリン食を控えめに。いっぽう低脂肪乳製品は推奨。植物性プリン体の影響は動物性より小さいとされます。
- 水分:1日を通じてこまめに。脱水は誘因。
- 体重:ゆるやかな減量は効果的(極端な断食・急減量は逆効果)。
- 運動:急性期は休む/間欠期は有酸素中心に再開(脱水・無理な高強度は避ける)。
- 睡眠:睡眠不足・不規則はホルモン・食行動を乱しやすい → 生活リズムの“土台”を整える。
不規則勤務でも続けやすい予防法
- 水分ルーチン:出勤前500mL、休憩ごと200–300mL、退勤後も分割で。夜勤明けは糖分控えめの水・お茶ベース。
- コンビニで選ぶ(例):おにぎり+冷奴/サラダチキン+サラダ/納豆巻(※大豆はOK)+味噌汁/低脂肪ヨーグルト。
- “アンカー睡眠”+昼寝:睡眠帯が乱れる日は短くても固定の芯睡眠(例:4:00起きの日は前夜の0:00前に90–120分)+到着後20–30分の仮眠で総量確保。
- 夜勤の飲酒は避ける:帰宅直後の飲酒は脱水&食べ過ぎの引き金。代わりに炭酸水・ノンアルを常備。
- 靴:つま先に余裕のあるスニーカー。発作後しばらくはワイズ広めを。
飲酒との付き合い方(種類別のリスクとマイルール)
- 量が最重要:ビール・サイダーは特にリスク上昇。蒸留酒はプリン体が少なくてもエタノール自体が尿酸代謝に影響します。
- ルール例:「週○日は完全休肝」「1回の上限○杯」「飲む日は高プリンおつまみ(レバー・干物・魚卵)を避ける」。
日常のよくあるQ&A
Q. 発作中にお風呂・サウナは?
A. 短時間のシャワー中心がおすすめ。温熱は悪化しやすく、サウナは脱水で誘発リスク。治まってから温めは可。
Q. 冷やすのと温めるの、どっち?
A. 急性期は冷却が第一選択。回復期にこわばりが残るなら軽い温めを。
Q. どの痛み止めが効く?
A. NSAIDsが第一選択。胃腸病・腎機能低下・心血管疾患・抗凝固薬の方は使用前に相談。アスピリンは避ける。
Q. 利尿薬や低用量アスピリンは?
A. サイアザイド系・ループ系利尿薬、低用量アスピリンは尿酸に影響。不要なら薬の見直しを主治医と相談。自己中止は不可。
Q. 食べてよい物は?
A. 穀類・豆類・卵・(低脂肪)乳製品・野菜・海藻は使いやすい。魚・肉は量と頻度を整える。プリン体表(mg/100g)は参考に。
まとめ(要点と筆者の体験談)
- 発作時は安静・冷却・水分、アスピリンは避ける。
- 痛み止めはNSAIDsを早期に。持病や併用薬がある場合は必ず相談。外用との重複使いは自己判断しない。
- 再発予防はSUA<6.0 mg/dLを目標に“治していく”治療+生活調整。アルコールと果糖を減らし、水分・体重・睡眠を整える。
以下、私の体験談です。読めばわかると思いますが、良い子は真似してはいけません。
右足親指の付け根に痛みを感じていたのですが、その日もいつも通り飲酒。
夜中から足が痛くなりあまりよく眠れず。足を見ると見事に右足が腫れ上がっていました。
(以前にも痛風になったことがあったので、わかってるのに止められない・・・)
そしてその日はいつもの立ち仕事。午後からだったので、午前中は足を冷やしたりしていました。そのおかげで痛みは少し緩和されましたが、まだ歩くと痛い。で、出勤前にロキソプロフェン錠があったのを思い出し、服用。出勤しました。
ロキソプロフェンパッチだけでは正直あまり効果は感じられませんでしたが、ロキソプロフェン錠を飲んでみたら痛みが緩和されました。全身作用する方が効きはいいんですかね。
(パッチと錠剤は併用できるようですが、ちゃんと医者様か薬剤師さんに確認お願いします。体調とかでダメな場合があるかもしれませんので。私は薬剤師ではなく登録販売者なので、その判断は下せません)
さて、その日の夜も実験とばかりにお酒を(第3のビール2本+α)飲んだところ、夜中はそんなに痛くなりませんでしたが、翌日、歩いてみるとしっかり痛かったです。
しばらく禁酒して養生します。
決して真似しないようお願いします。
参考にした主なガイドライン・信頼情報
- 2020年 ACR(米国リウマチ学会)ガイドライン:治療目標 <6 mg/dL、アロプリノール第一選択、発作時の治療と発作予防の併用など。
- EULAR 推奨(2016):急性期は早期治療・生活指導(飲酒/砂糖飲料回避、低脂肪乳製品推奨)・合併症評価。
- 日本(痛風・尿酸財団/学会)資料:急性期は安静・冷却・禁酒、食品のプリン体表、国内の運用。
- アルコール・果糖のエビデンス:飲酒量に比例した再発リスク上昇/清涼飲料のリスク。
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※本記事は一般的な情報提供です。薬の使用前は表示・添付文書を確認し、不安があれば医師・薬剤師・登録販売者へ。
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