はじめに(ロキソニンが見当たらないわけと、このガイドの前提)
「ロキソニン、棚にないな…」という経験、ありますよね。実はロキソニン(一般用のロキソニンS)は“第1類医薬品”で、薬剤師による対面での説明・確認のうえで販売する決まりになっています。
そのため、薬剤師がいないお店は、そもそも第1類医薬品を取り扱っていません。また、薬剤師が在籍する店舗でも時間帯や体制によっては販売できないことがあり、同じチェーンでも「置いていない/今は買えない」という差が生じます。
**一方で、近くの薬局(調剤薬局や薬剤師常駐のドラッグストア)なら、処方箋なしでロキソニンSを購入できる場合があります。**その際は、持病や併用薬などを薬剤師がヒアリングし、注意点の案内を受けてからの販売になります(※医療用ロキソプロフェンは従来どおり処方薬)。詳しくはお近くの薬局でお尋ねください。
このガイドでは、「ロキソニンが買えない/見当たらない」状況でも、どのドラッグストアでも選べる第2・第3類の鎮痛薬に絞って、症状 → 成分 → 最小限 → 48〜72時間で見直しの順に、やさしく道案内していきます。
1. まず“痛みのタイプ”を決める(セルフチェック)
- 頭痛:ギューッと締め付ける・肩こり同伴→緊張型/ズキズキ片側・吐き気・光がまぶしい→片頭痛寄り
- 生理痛:下腹部〜腰の鈍痛・重だるさ
- 歯痛:ズキズキ拍動痛・冷温刺激で悪化(※応急のみ、早めの歯科へ)
- 筋肉痛・関節痛・打撲:動かすと痛い・腫れ・熱感
- 発熱を伴う全身痛:悪寒・だるさ・節々の痛み
ここで「いちばんつらい症状」を一つ決めると、選ぶ成分が自然に決まります。
2. 第2・第3類で選べる主要成分(内服・単剤中心)
アセトアミノフェン
- 特徴:胃への負担が比較的少なめ。発熱時にも使いやすい。
- 向く:緊張型頭痛/発熱を伴う痛み/胃が心配な人。
- 注意:用量超過は厳禁(併用薬に同成分が入っていないか確認)。
イブプロフェン(NSAIDs)
- 特徴:炎症性の痛み(腫れ・熱感)に強い。
- 向く:片頭痛寄りの頭痛/生理痛/歯痛/筋肉・関節痛。
- 注意:空腹時は避ける/胃が弱い人は慎重に。腎・心・消化性潰瘍など持病がある場合は使用前に確認を。
エテンザミド(しばしば配合で登場)
- 特徴:アセトアミノフェンやカフェイン等と配合されやすい。
- 注意:配合薬は重複成分に注意(特にアセトアミノフェン・カフェイン)。
アスピリン(アセチルサリチル酸)/サリチルアミド
- 特徴:古くから使われるサリチル酸系。
- 注意:出血傾向・胃腸弱い人・喘息は慎重/小児・未成年の発熱時は原則避ける(ライ症候群の観点)。自己判断での長期使用はしない。
配合“あるある”の見方
- カフェイン:効きの立ち上がりを助けるが、過量で不眠・動悸に。コーヒー等との合算に注意。
- 鎮静成分(例:ブロムワレリル尿素 等):眠気で運転不可になることあり。日中は避けるのが無難。
3. 症状別の最短ルート(重ねず、最小限で)
頭痛(緊張型)
- まずはアセトアミノフェン。水分・首肩ストレッチ・睡眠も同時に。
- 効きが弱い/筋緊張が強い日は姿勢・休息を優先。連日の常用は薬剤の使い過ぎによる頭痛のリスク。
片頭痛っぽい頭痛
- イブプロフェンを短期評価(表示通り)。光・音を避けて安静。
- 反復・増悪・神経症状(しびれ・ろれつ)を伴う→受診。
生理痛
- 軸はイブプロフェン。胃が弱い/妊娠の可能性があるときはアセトアミノフェンへ。
- つらい日だけ最小限に。過多月経・失神・月経以外の出血があれば受診。
歯痛(応急)
- イブプロフェンで橋渡しし、できるだけ早く歯科へ。
- アスピリンは出血を増やす可能性があるため抜歯前後は避ける。頬が腫れ熱がある→受診を急ぐ。
筋肉痛・関節痛・打撲
- 安静・冷却・圧迫・挙上(RICE)が基本。必要時にイブプロフェンを短期で。
- 局所に**外用(貼る・塗る)**を併用可(次章)。
発熱・全身痛
- アセトアミノフェン中心。水分・休息を優先。
- 高熱が続く/呼吸苦/意識障害などがあればただちに受診。
いずれも、48〜72時間で見直し。手応えが薄い・悪化・頻回に必要→原因評価のため受診が最短ルートです。
4. 外用(貼る・塗る)の使い分け|第2・第3類
外用NSAIDs(例:フェルビナク/ジクロフェナク/インドメタシン など)
- 向く:局所の炎症痛(捻挫・打撲・筋肉痛・関節痛)。内服を減らしたい時のサポートに。
- 貼る or 塗る:動く部位や広い面→ゲル・ローション、じっとできる部位→パップ・テープ。
- 注意:同じ部位に長時間貼りっぱなしは×/皮膚刺激・かぶれに注意。一部の成分は日光でかぶれやすくなるため、貼付部の直射日光を避ける。
温感・冷感の目安
- 急性期(腫れ・熱感):冷感系で楽に感じる人が多い。
- 慢性期(こり・血行不良):温感が向くことも。刺激が強ければ中止。
5. 効果を最大に・副作用を最小に(使い方の基本)
- 用量・間隔・最大日数は表示どおり:増やしても効きは上がりません。
- 食後の目安:NSAIDs(イブプロフェン等)は空腹時を避ける。アセトアミノフェンは食事と無関係でも可。
- 水分と休息:脱水は痛みを悪化させます。こまめに水分、可能なら横になって。
- アルコール・運転:配合薬の鎮静成分で眠気が出ることあり。飲酒と併用・運転は避ける。
- 重複チェック:かぜ薬・頭痛薬の多重使用は成分が被りやすい(アセトアミノフェン/抗ヒスタミン/カフェインなど)。ラベルで必ず確認。
(続きでは「併用・重複チェックの具体例」「注意が必要な人」「受診の目安」「FAQ」「まとめ」を仕上げます)
6. 併用と重複チェック(ここだけは必ず見る)
- かぜ薬との重複
かぜ薬にも**解熱鎮痛(アセトアミノフェン等)**が入っていることが多く、頭痛薬と二重に飲む=過量になりがち。ラベルの「有効成分」を確認し、同じ成分が重なっていないかをチェック。 - カフェインの取り過ぎ
一部の配合鎮痛薬にはカフェインが入ります。コーヒー・エナジードリンクと合算すると不眠・動悸につながることがあるので、就寝前は避ける・日中は量を控える。 - 外用+内服の併用
痛む部位がはっきりしているなら、外用(貼る・塗る)を“足して”内服を減らすのは合理的。外用どうしの重ね貼りや、同じ外用成分を重複させるのは避ける。 - アルコール・鎮静成分
配合薬の鎮静成分(例:ブロムワレリル尿素など)が入っていると眠気が出ます。飲酒・運転・機械作業は避ける。 - サプリ・漢方・他剤
いつも飲んでいるものがあれば、成分名をメモして持参・相談。特に抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を使う人はアスピリン系に注意。
7. 注意が必要な人・避けるべきケース
- 胃潰瘍・胃炎の既往、腎・肝・心疾患、喘息がある
NSAIDs(イブプロフェン等)は慎重に。胃の症状が出やすい人はアセトアミノフェンを優先し、短期で評価。 - 妊娠・授乳
妊娠後期はNSAIDs回避が原則。妊娠の可能性があるときはアセトアミノフェンを検討し、自己判断が不安なら受診へ。授乳中も成分と用量を厳守。 - 小児・高齢者
年齢・体重で用量が変わることがあります。表示を守り、間隔を詰めない。アスピリン(アセチルサリチル酸)は小児の発熱に原則用いない。 - 出血傾向・抗凝固薬内服中
歯肉出血が止まりにくい、青あざが増える、ワルファリン等の服用中はアスピリン系を避ける/慎重に。 - 持続・反復する痛み
「同じ痛みで月に何度も市販薬が要る」「月10日以上飲むときがある」は受診サイン(薬剤の使い過ぎによる頭痛など)。
8. 受診の目安(安全側に倒す)
- 48〜72時間(2〜3日)使っても改善しない/悪化する
- 高熱、意識がもうろう、しびれ・ろれつが回らない、嘔吐を繰り返す
- 外傷後の痛みが続く・腫れが広がる
- 歯痛で腫れ・発熱・飲食困難が出てきた
- 慢性化してきた、鎮痛剤が手放せない
→ このどれか一つでも当てはまれば、自己判断は中止して受診を。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 食後じゃないとダメ?
A. イブプロフェンなどNSAIDsは空腹時を避けるのが基本。アセトアミノフェンは食事と無関係でも可ですが、胃が弱い方は食後に。
Q. 眠気が心配。
A. 単剤のアセトアミノフェン/イブプロフェンは眠気が出にくい一方、鎮静成分入り配合薬は眠気が出ることがあります。成分表示で“鎮静”系の有無を確認し、運転予定がある日は避ける。
Q. 外用だけで乗り切れる?
A. 局所の炎症痛(捻挫・打撲・筋肉痛など)なら外用中心で十分なケースも。広い範囲・強い痛みは内服を短期で併用⇒早めに外用へ戻すのがコツ。
Q. かぜ薬と一緒に飲んでもいい?
A. ラベルで解熱鎮痛成分の重複を必ず確認。アセトアミノフェンの二重摂取は過量につながるため避ける。
Q. いつまで自己判断していい?
A. 合言葉は48〜72時間で見直し。繰り返す痛み・頻回使用・不安がある場合は受診へ。
10. まとめ(最短でラクになるコツ)
- 症状を決める → 成分で選ぶ(単剤中心) → 最小限 → 48〜72時間で見直す。
- アセトアミノフェンは発熱や胃に配慮したい時、イブプロフェンは炎症の痛みに。アスピリン系は注意事項を必ず確認。
- 外用をうまく使って内服を減らすのも手。
- 成分の重複・過量・眠気に気をつけ、迷ったら安全側で受診。長引く痛みは原因を確かめるのがいちばんの近道です。

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